【発売日】 1994年12月16日
【発売元】 フロム・ソフトウェア
【開発元】 フロム・ソフトウェア
【ジャンル】 アクションロールプレイングゲーム
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【中古】[PS]キングスフィールド(KING'S FIELD)(19941216)
【中古】[PS]KING'S FIELD III(キングスフィールド3)(19960621)
概要 (説明は『Wikipedia』より)
現在では『アーマード・コアシリーズ』や『シャドウタワーシリーズ』、『Demon’s Souls』や『DARK SOULSシリーズ』の制作元としてその名を知られる中堅ゲームメーカー、 フロム・ソフトウェア の処女作にして代表作。
それまでは業務用ソフトウェアを中心に手掛けてきた同社がバブル崩壊に臨み、コンピューターゲームへとジャンルを移した結果生み出されたのがこの作品である。
プレイステーション発売から僅か13日後に発売された本作は、殆どPSのローンチタイトルとして世に出る形となった。
しかし、本作は期待に胸躍らせる当時のゲーマーにいきなり冷や水を浴びせた。
「フルポリゴンの一人称視点RPG」という時点で既に異質な雰囲気を漂わせていた本作は、果たしてその通り、FC時代より培われてきた「RPG=手軽に遊べる冒険物語」という固定観念からかけ離れていた容赦のない高難易度であったのだ。
その硬派な作風は決して一般受けするものではなかったが、一方で旧PC向けRPGに立ち返ったような数少ない作風に、あるいは高いハードルを乗り越えた後に分かる良好なゲーム性に魅了されたファンも、確かに存在したのである。
以後、『キングス』はシリーズ四作品・外伝二作品がリリースされる、フロム・ソフトウェアというゲームメーカー初期の看板作品となる。
プレイヤーはジャンとなり、全5層からなるヴァーダイト王家の墓所を探索する。
墓所は長年にわたる増改築や探索の結果、地図にもない空間、隠し扉・通路がいたるところに存在し、トラップも多数仕掛けられている。
スタート地点は地下一階となるのだが、ゲーム中は一切外に出ることはできず、薄暗い墓所の中で過ごすこととなる。
とはいえ一階には兵士の宿舎や、巡礼者の為の教会や「ライト商会」の店も存在しており、とりあえずの拠点は確保されている(ただし「宿屋」は存在しない)。
本作のプレイ画面は終始ジャンの視線、つまり「一人称視点」で進行するという、当時のARPGとしてはなかなか珍しい形式を採用している。
この視点により臨場感と恐怖が高まると共に、敵の発見が難しくなるという効果も生んでいる。
ちなみに「戦闘画面への突入」、つまり「エンカウント」はなくすべてシームレスに処理される。
操作方法に関しては、同社作の『アーマード・コアシリーズ』(特に初代~SL)のものにかなり近い割当てとなっている。
「没入感の高い一人称視点」で「リアルタイムのアクション戦闘」を行いつつ「3Dダンジョンを探索」する、というゲーム性は、プレイステーション発売直後という時期を考えると唯一無二。
ついてくるプレイヤーが少ないという点では「早すぎる」とすら言える。
「生死不明の父を捜す」という大目標はあるものの、明確なストーリー展開は基本的にない。
ゲーム的には「次へ進むためのカギを探して、ただただ墓所の地下を目指していくだけ」と言ってしまってもいいだろう。
とはいえ、墓所には見えない通路・封印された魔法陣・鍵のかかった檻などの様々な仕掛けがある。
さらに奥へ進むにつれて魔物は強化されていくため、雑魚を倒してレベルアップし、装備もそろえないといけない。
……と、言うだけなら簡単であり、少し慣れれば確かに簡単なことだとわかるはずである。
しかし、その「少し慣れる」までのハードルが高いのが本作である。
本作の最たる「初心者殺し」はスタート直後の状況そのものだろう。
主人公はいきなりスタート地点に立っているのだが、正しく立っているだけなのだ。
持っているのは初期装備の剣だけで、魔法はおろか最低限の回復アイテム、更には墓所の地図すら持っていない。
セーブポイントや回復ポイントの場所もわからず、当初の目的すらも示されない(そもそも目的などというものは存在しないが)。
初見プレイヤーはとにかく戸惑う事になる。
苦戦を繰り返しながらも、プレイヤーは少しづつ成長していく(筈である)。
そうしてスタート地点周辺の雑魚敵となんとか互角以上に戦えるようになったころにはおおまかなセオリーをつかみ、より奥部への進出を考えるようになっていることだろう。
ここからが楽しくなってくるのだが、「初心忘れるべからず」のごとく、様々な仕掛けがプレイヤーを待っている。
シビアな戦闘や謎解きなどの直接的な難しさとは別に、ゲーム自体のダークな雰囲気もプレイヤーを追い込む。
「地下墓所」という設定を反映し、墓所内は薄暗く、先が見えないようになっている。
更にBGMまで重苦しいものが多い。
とにかく「慣れるまでの序盤が死ぬほど厳しい」本作。
しかし一旦慣れてしまえば、広大なマップをトラップや隠し通路を警戒しつつ、魔物を成敗して宝箱をあさりながら進むことに「探索欲と征服欲」を掻き立てられることになるだろう。
加えて限定された回復手段や希少なアイテムからくる「戦略性と緊張感」、そしてRPGにつきものの「おつかいイベント」が全く強制されない(あるにはあるが任意である。完全スルーも可)ことからくる「抜群の自由度」が、本作が根強い支持を受ける所以である。
戦闘のシビアさも本作の魅力の一つ。
未踏の地では常に緊張感が保たれることもさながら、決してプレイヤーに不利なだけでない、プレイ経験を積むことで上達が目に見えてわかるバランス取りが本作には備わっているとされる。
自分(プレイヤーとしてもジャンとしても)が強くなったことを実感することで自信がつき、更に先へ進みたくなるという、ARPGとして理想的な、なおかつ基本の構成がしっかり出来ているのだ(ゲームシステム上、それを強く実感させられる構成になっているのもポイント)。
当時としては最高クラスのCGがふんだんに用いられている(フル3Dダンジョンなので当然と言えば当然だが)。
フルポリゴンのゲームはそれまでにも存在したが、本作の完成度はその中でも上位に位置していた。
本作の舞台が「薄暗い地下墓所」となったのは、技術力・ハード性能の低さから選択された背景設定である。
いくら質のいいポリゴンが出来ても、広大なフィールドを描写するのはまず不可能。
それならばあえて地下を舞台にし、「遠方は暗くて見えない」ということで制約をくぐり抜けた。
「自由度が高い」と評価されるRPGの宿命だが、次に何をするべきなのか見失い、モチベーションが途切れることが起こりかねない。
当時の技術力ではいたし方ないが、いかに20世紀末のハイエンドCGといえどもポリゴンは粗く、3D酔いを起こしやすい。
移動速度は戦闘時には調度いいが、単に移動のためだとやや遅い。
プレイ再開時などに、分かりきった道を遅めの速度で進まざるを得ないのは少々まどろっこしい。
『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』などが切り開いた「手軽なRPG」に慣れていた日本のゲーマーには、『キングス』は「暗くて難しい異端のRPG」として受け止められた事は間違いのない事実だろう。
しかし、却ってそのダークかつドライな世界観やシビアなゲーム性に魅せられ、プレイしてみて本作の持つ良好なゲームバランスに気付き、熱心なファンとなったゲーマーも、決して少なくはなかった。
さらに言えば、1994年12月当時はまだ一人称視点のゲーム自体が黎明期。粗い2Dスプライトや高低差のない線形マップなどは当たり前で、一人称ファンタジーRPGとして成立していたタイトルは、当時の家庭用機をスペックで圧倒していた海外PCゲーム界隈であっても『Ultima Underworld: The Stygian Abyss(1992年3月)』、『The Elder Scrolls: Arena(1994年3月)』、『Dungeons & Dragons: Ravenloft(1994年1月)』などのフルマウスオペレーションでアクション性の薄いものに限られていた。
マウスクリックでなくキー入力による操作を採用したアクションRPG的な傾向の強い『Catacomb 3D(1991年11月)』、『Heretic(1994年12月)』などの一人称視点タイトルであっても、FPSの舞台世界を中世RPGファンタジー世界に置き換えただけの、銃撃戦の様に魔法を放ちまくるスタイルに留まっていた。
『キングス』はそこから一歩進んで「便利な遠距離攻撃手段になりがちな魔法の攻撃手段としての比率を下げ、ゲームスタイルを近接白兵武装攻撃主体にした」という点でもエポックメイキングな部分が有った。
「マウスでなくアクション性の高いゲームパッドキー入力方式を採用」、「アイテム管理やレベル要素といった高度な成長システムの導入」、「3Dグラフィックと立体的な地形」、「近接主体のゲームバランス」という条件をクリアした本作は、当時他に並ぶタイトルが存在しない唯一無二の一人称アクションRPGだった。
また、PS黎明期である本作の開発時期、及び本作が制作会社の処女作であることを考慮すれば、これ程完成度の高いフル3DアクションRPGが世に出たというだけでも、本作は一定の評価を受けてもいいだろう。
本作で培われた技術は、後にロボットアクションゲームの代名詞的存在として知られることになる『アーマード・コア』に生かされ、更には発展系として、やはり「隠れた良作」と評されることの多い『シャドウタワー』『Echo Night』が生み出されることとなった。
硬派なRPGをがっつり遊びたい人、「マゾゲー」を求める求道者、『Demon’s Souls』やフロム・ソフトウェア製ゲームのファンには開祖のソフトとして是非ともお勧めしたい作品である。
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