斑鳩(アーケードゲーム◆トレジャー)

【稼働開始日】 2001年12月20日
【発売元】 トレジャー
【開発元】 トレジャー、グレフ
【ジャンル】 シューティングゲーム

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概要 (説明は『Wikipedia』より)

一部のシューターに絶大な支持を受けた『レイディアントシルバーガン』を製作したトレジャーによる第二のシューティングゲーム。

「Project RS-2」と銘打たれており続編にあたるが、時間軸等は異なる。

タイトルの「斑鳩」は実在する野鳥の名前。

その名の通り白と黒のまだら模様を持つ鳥で、本作のタイトルとしてはこれ以上無い象徴的なもの。

また、面の途中に明朝体による漢字二文字のステージタイトルとメッセージのテロップが入るが、この文章もハイセンスかつとても印象的。

このとき画面上では自機がクローズアップされ敵陣に突っ込んでいく…と文字にすればあっさりとした演出が入るが、テロップ、背景や自機の動き、BGMの変調などが相まって非常に深い印象を残す。

この演出にシビれて本作にハマったプレイヤーも多い。

ストーリーはゲーム中ではテキストに抽象的に示されているだけだが、その裏に設定されたものはかなり濃い口。詳細はこちらに譲る。

単純ながら硬派で熱いストーリーや、ゲーム中の最後の悲壮な演出と、その背景にあった掛け合いも、多くを語らないSTGらしい演出ながら、様々な想像を起こさせるものとなっている。

「シルバーガン」のようなメタフィクション的な要素は本作では薄くなっているが、主人公=プレイヤー、「斑鳩」を作った老人達=このゲームの製作者、「斑鳩」=このゲーム自身という解釈も一応出来ないことはない。

自機「斑鳩」のパイロットなどのキャラクターイラストも描かれている。

「シルバーガン」とは違い影が濃く硬派なもの。

渋いタッチで描かれたキャラクターや機体のビジュアルから魅了されたという人もいたりする。

飛鉄塊(本作における戦闘飛行機の総称)や仏鉄塊(本作におけるボスの総称)のデザインはメカ好きからも好評の模様。

操作は1レバー+2ボタン。

縦画面モニターを採用しており、表示のデザインも前作に比べてかなりアーケードゲームらしくすっきりまとまった。

本作で最も特徴的なのが白と黒の属性。自機とそのショット、ほぼすべてのボスを含めた敵機と敵弾、その全てに属性が存在するが、自機はボタン一つで属性を任意に切り替えられる(切り替えの際に僅かな隙が発生する)。

言葉で説明すると複雑なので詳細な説明は省略するが、実際にプレイしてみるとかなり直感的なもの。

その中でも最大の特徴として「同じ色の敵弾はミスにならず吸収する」。

その為、気合い避けが要求される場面は意外と少ない。

吸収した敵弾は自機のエネルギーとしてストックされ、「力の解放」という攻撃力の高いホーミングレーザーを放つのに使用できる。

攻防一体というわけである。

画面を埋め尽くすほどの大量の敵弾が飛んでくる、いわゆる「弾幕シューティング」のような場面もあるが、当たり判定は小さくない代わりに一部の攻撃に対して無敵という点で一線を画したデザインとなっている。

初心者が一方の属性ばかりで進めた場合も、同属性の打ち返し弾には無敵・異属性には2倍の攻撃力と、ある程度の難易度調整となる。

ゲームは全5ステージと前作より短いが、その殆どが属性変更を生かし、使用を必須とした密度の濃いステージが構成されている。

1面全体~2面道中までが本作の基礎を学ぶためのステージとなっており、段階的な習熟ができるようになっている。

特に4面の「ラフレシア」と呼ばれる前半エリアと5面ボスの最終形態の攻撃パターン&攻略方法は、属性システムと「力の解放」を遺憾なく生かした本作屈指の名場面と言われる。

ちなみにこの属性システムも、弾を吸収できる性質を含めて本作の全く新しいアイデアではなかったりする。

ただその吸収を前提としたバランスや、それらを活かした打ち返し弾も含むと初。

同じ色の敵を連続で3機倒すとチェーンボーナスとして高得点が入る。

難易度は高いが、クオリティの高い各種演出も合わせて「やり遂げた」ときの手応えは他のゲーム以上。

パターンゲーの要素が強く暗記事項が多いのだが、逆にどう突き詰めても反射神経や運がものをいうような場面は少なめ。

決して簡単ではないが、暗記して慣れた分だけ上達する構造。やり遂げたときに一体何を思うかはそのプレイヤー次第。

パターンゲーの中では実は比較的自由度が高い。

突破のために覚えるべきポイントは多数だが、それらによって織り成されるパターンは幅広いものとなっている。

チェーンを稼ぐ場合でも、妥協してもそれなりに様になる。

パターンを自分で考えても良し、上手い人の記事や動画のパターンを参考にして少しずつ自分のものにしていくのも良し。

スコア稼ぎも極めようとするとかなり奥深い。

特に先のラフレシア地帯の「外周撃ち」は斑鳩の稼ぎにおける最難関といわれている。

ショットを一切撃たなくてもクリアが可能。

その場合の「DOT EATER!」なる称号・実績まで用意されている。

ロケテストで既にこのプレイを行おうとしていた人がいたことにインスパイアを受けたという。

これを受けて、見た目は明らかに通れない場所がある2面でも、判定上は通れる隙間が用意された。

このプレイは決してマニアのお遊び要素としてだけでなく、攻略面でも見るべき所がある。

このゲームは属性システムの関係もあり、倒さねば確実にミスに追いやられる敵がかなり少ないため、自機の位置取りを邪魔する敵のみを撃つだけでも安全面は確保できる。

先に「クリアするにはある程度稼いだほうが楽」と書いたが必須というわけでもなく、完全な「DOT EATER!」は無理でも最小限の敵のみを撃って進めたほうが安全な場合もある。

特にパターンが安定しないうちは、下手に敵を撃ってチェーンが途切れるより、チェーンを繋げられない敵は逃した方が逆に高スコア=エクステンドを得られる事が多々ある。

二人同時プレイでも攻撃内容や敵配置は全く同じ。

但し、当然というべきか自機同士は重なれない。

通常は味方の出した撃ち返し弾に当たって…という事になるが、通常は出来ない早回しや撃てない敵も撃てるようになるため、上級者同士の二人同時プレイは一人プレイ以上に白熱する。

世の中にはこれを一人二役でやってしまった上級者もいる。

シルバーガンの賛否両輪だったシステム(複数のショットを使い分ける複雑さとスコア稼ぎの強制、そのためにあえて敵を見逃す異常なプレイ風景)は、パワーアップ要素を廃し、自機の性能をシンプルにし、チェーンシステムの制約を緩めることで改善されている。

最初から最後まで同じ性能で自機を使い続けることができるため、被弾ミス後の『復活』に悩まされることはない。

そして何よりも評価されているのがグラフィック・BGM・デザインや演出面といった視覚と聴覚に訴える部分である。

アーケード版の稼動から10年以上経ってもなお、斑鳩の世界に魅了される人は未だ数多い。

グラフィックは2000年代初頭のゲームとは思えないほど精巧に作られており、現在のゲームと比べても決して見劣りしない。

背景や地形は大部分がいかにもSFでソリッドな建造物で構成されており鮮やかさの無い色調となっているが、それにより画面上の精密なデザインながら記号的に作られた白と黒の機体や弾が、整然とした配置もあいまってより一層映えてくる。

加えて、自機である「斑鳩」がどう動くかまで全て緻密に計算された配置により、極まったプレイは芸術の域へ昇華される程。

各種オブジェクトや演出には梵字が描かれているものもあり、これらが遠い未来の日本という、機械的でありながら東洋的な雰囲気を感じさせる独自の世界観を作り出している。

ちなみに自機の斑鳩をはじめ、1面ボスの烏帽子鳥(エボシドリ)、3面ボスの鶉(ウズラ)、4面ボスの鶚(ミサゴ)など、本作に登場する機体名は鳥の名前から取られている。

BGMも非常に評価が高い。

STGらしく迫力のある曲調もさることながら、それらの曲につけられた緩急がステージの展開や配置と完全に調和し、プレイヤーや見る者を引き込んで行く。

中でも1面BGMは、これ一曲で本作の全てを表現しているといっても過言ではない名曲。

この1面のBGMは随所で一部のメロディが使われているメインテーマ的な曲であり、アレンジが流れる場面も多い。

ぜひ自分の目と耳で確かめて欲しい。

これらのBGMを作曲したのはディレクターの井内ひろし氏(本職は背景デザイナー)であることも驚きをもって受け入れられた。

良くも悪くもパターンゲーである。

それも生半可なものではなく、中途半端なプレイはかえって首を絞めるような調整のため、難易度はかなり高い。

独特のシステムを昇華し、ゲーム性・芸術性ともに極めて完成された傑作。

STGというジャンルのひとつの到達点と言っても過言ではないほど、カッコ良く、硬派で、洗練されており、その作りこみや完成度は本物。

根強く支持するプレイヤー達の熱意もまた平均して強い。

ただし、「評価はされているが万人受けしない作品」の典型でもある。

徹底したパターンと精密な操作を追求するストイックなゲーム性、独特のシステムは、初心者の目には近付きがたいものに映り、熟練したシューターの間でも好みが分かれる事態にもなった。

とはいえ、「他人のプレイを見ると綺麗だけど、自分でやるのは…」という方も、勇気を出して一歩踏み込みプレイする価値は十分ある家庭用作品でもある。

ただし、本作に興味を持たれたならば、プレイの前にバックストーリーを読まれる事を強くお奨めする。

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